出願のためにどんな書類がどういう形式で必要なのかという前に、日本の大学の受験経験しかない社会人や学部生が欧米の大学院へ出願するにあたり、合否の審査基準や審査システムが異なるという点をまず理解しておく必要があります。同時に、学部への出願ではなく、大学院の修士号課程への出願という点も充分に留意しなければなりません
最初の審査基準や審査システムが違うということは、TOEFLやGREの点数は審査基準の一部でしかなく、他に提出する成績証明書やPersonal Statement (PS) やC.V. (Curriculum Vitae) や 推薦状や紹介状などを考慮して合否を決めます。即ち、点数化できる客観的な基準とStatementなどの主観的な基準を合わせて審査します。ですから、よく合格点は何点ですかと聞かれても答えられません。もし、点数だけであればGRE, GMAT, TOEFLなどほぼ満点を取っている中国人やインド人の出願者が幾らでもいます。日本の大学受験で言う合格点の考えが当てはまりません。勿論、足切点は推測できますので相談下さい。また、合否審査は、例外なく、合議制です。複数の審査官(Admissions Committee/Members)が話しあって合否を決めます。 通常は3〜4名の教授と審査担当学部長で構成されます。
さらに、学部への出願ではなく、大学院の修士号課程への出願ですからPersonal Statement (PS) を通してacademicなmatchingが重要です。極端ですが、この研究をしたいのであればこの大学院のDr. Charlie Brown教授でないと充分な成果を上げられないというロジックと複数の具体的な理由が必要になります。現在学部生か大学院生であって同一分野の勉学をしているのであれば、すぐ指導して欲しい専門分野の教授の名前を複数思いつきますが、社会人の場合は最近の文献や専門書や学会記事をあたる必要があります。カウンセラーが、一番時間をかけて、受講生と一緒に考えるポイントです。当然ですが、MBAとは違い、教授が審査するという点はしっかり頭に入れておきましょう。
そう言う意味では、日本の大学院入試とも共通する点があります。興味があれば日本の大学院入試を数校チェックしてみればすぐわかります。試験はあっても無いようなものですから、試験よりも計画研究書にかなりウェイトが置かれるのと似ています。 では、スクールにより多少の違いはありますが、提出する出願書類を具体的に見ていきましょう。
出願願書のことで、アメリカのの場合は、ほぼ例外なくオンラインです。スクール独自のWebServerとSQLServerとPDFServerを組み合わせて出願サイトを構築している場合もありますが、大手のApply YourselfやCollegeNetのような出願オンラインシステム会社に委託しているのが現実です。ですから、例えば、Cornellに出願するためにAccountを作成すると、CornellではなくCollegeNetからAccountができた旨のメールが届きます。オンラインの出願システムはすでに10年ほどの実績があるので、おおむね良くできています。紙やPDFの出願願書と同様に、氏名、旧名、性別、生年月日、出生地(市と国)、現住所と電話番号、現住所の有効期限、帰省先住所と電話番号、メールアドレスなどのPreliminary Informationと学歴や職歴や活動歴や受賞歴や著作歴などのBiographical Informationを入力します。
出願カウンセリング講座の受講生は、環境学プログラム の主要校の出願願書の記入方法と記入サンプルを図解した資料が掲載されている受講生専用サイトにアクセスできます。 記入項目が不明の場合はカウンセラーに(予約不要)メールか、(要予約)電話かスカイプか個人面題で聞いて下さい。事前に不明な箇所のスクリーンショットを撮って下さい。
成績証明書のことです。海外の大学院への出願ですから、学卒の場合は学部の成績証明書、院卒の場合は学部と院の成績証明書の両方が必要となります。卒業した大学・大学院に英文で発行してもらいます。一番注意しなければならないのは、成績証明書に授与された学位が記載されていない場合は、卒業証明書も必要です。成績証明書に学位が明記されていないということは、大学に行って単位は得たが学位は貰えていないという意味になりますので、出願資格が無いことになります。なお、卒業証明書というより、学位授与書というのが本来かもしれません。成績証明書に授与された学位が載っていても、卒業証明書とセットで発行してもらっている受講生がほとんどです。ですから、学卒の場合は2枚で1セット、院卒の場合は4枚で1セットとなります。なお、東京大学の場合は、教養と専門で成績証明書が発行されますので、学卒は3枚1セット、院卒は5枚1セットです。なお、履修科目の確認やGPAの計算などのために自分用のコピーとして英文の成績証明書と卒業証明書を1セットもらっておくことを勧めます。
成績証明書と卒業証明書のセットを出願校に提出する方法は、原則、以下の3通りです。
なお、Cのオンライン上でのアップロードは、出願校から合格通知を受け取った時点で、AかBのいずれかの方法で正式な証明書を提出します。
出願カウンセリング講座の受講生は、環境学プログラム の主要校の成績証明書の提出方法と必要通数が掲載されて図解されている受講生専用サイトにアクセスできます。処理項目が不明の場合はカウンセラーに(予約不要)メールか、(要予約)電話かスカイプか個人面題で聞いて下さい。事前に不明な箇所のスクリーンショットを撮って下さい。
Bの厳封セットの場合は以下のように卒業証明書と成績証明書を大学の封筒に入れ、出願校を宛て書きし、裏にはフラップにかかるように署名をしてもらいます。
履歴書のことですが、その重要性は日本の形式的な履歴書とは大違いです。日本の履歴書は学歴や職歴を羅列するだけで、ストーリーを描くことはできません。英語のCurriculum Vitae (CV) / Resumeは、学歴や職歴ごとに何を達成して、何を身に付けたかなどを詳述でき、自分をどのように見せるか特定の方向性をもってストーリを描けます。ですから、どの項目を、どの順で、どの位の分量で載せるのかを戦略的に考えて作成します。職歴がアピールポイントの場合は、職歴の分量が多くなりますし、学会の活動歴をアピールしたい場合は活動歴が多めになります。カウンセラーが受講生と一緒に最初に行う作業です。なお、端的に言えば、CVはResumeより詳細に長く書かれたものです。
審査で最初に読まれる可能性が高いのがCVですから、内容のみならず、デザインと形式にも充分に注意を払いましょう。日本語のワードの場合、ディフォルトで邦文は「MS明朝」で英文は「Century」ですが、Centuryは欧米人にTimes New Romanと比較して洗練されていない印象を与えますので要注意です。 最も使用されるフォントはTimes New Romanです。また、マージンや行間にも注意です。ディフォルトで使用することはありません。どこを太字にして、どこをイタリックにしたほうがインパクトを与えるか知っていますか?
なお、呉々も注意しなければならないのは、掲載項目と頁数です。Resumeの情報はMBAプログラムや就活に関するものが多く、1頁でなければならないと思い込んでいませんか? MBAのApplication ResumeやJob Resumeは1頁ですが、MBA以外のプログラムでは2〜3頁です。また、求職のためのResumeと大学院出願のためのResumeの違いを知っていますか? 内容やデザインそしてフォーマットも含めカウンセラーに相談して下さい。
受講生は、過去の合格者が作成したサンプルを閲覧できます。
志願理由書のことで、Personal StatementやEssayは審査基準の中で最も重きを置かれるものです。カウンセリングでも一番時間を費やします。与えられ課題に沿って答えを書くのは当たり前ですから必要条件として、どうしたらユニークで説得力のある十分条件に近いStatementになるのでしょうか? 他の出願者と何をどうセグメントするとユニークなStatementになるのでしょうか? どのスクールもプログラムをアピールしたいポイントを出願者にホームページを通じて強調していますが、それらのアピールポイントをそのままリストアップしたら、そのスクールに行きたい理由になるのでしょうか? 卒業のために必要な単位を取るだけですか? 履修する科目は明確な方向性をもっていますか? 研究計画が大雑把すぎませんか?研究テーマが古すぎませんか?研究し尽くされたテーマではありませんか? 当たり前ですが、MBAとは違い教授が審査するという点はしっかり頭に入れておきましょう。Academicなmatchingが非常に重要です。
以下、主要スクールのPersonal Statement / Essay課題です。
Yale, School of Forestry & Environmental Studies, MEM Personal Statement (Not more than 600 words) Describe your academic and career objectives and how Yale F&ES can help you achieve them. Include other considerations that explain why you seek admission to F&ES and your interests in the environmental field.
Duke, Nicholas School of the Environment, MEM Personal Statement The Admissions Committee attaches considerable weight to the statement of educational objectives submitted by the applicant. This statement should reflect well-defined motivation to pursue graduate study. The school is particularly interested in applicants who show leadership potential in the broad field of natural resources and the environment. Applicants are expected to demonstrate the maturity and sense of purpose essential to a demanding educational experience, including an understanding of the value of professional education to the applicant’s career plans and expectations. Personal statement should be a maximum of 500 words.
えっ!これだけ。みたいな感じです。MBAだと、一部を除き、かなり具体的な設問なのですが、MBA以外のプログラムのPSはだいたい漠然とした課題が多いのが現実です。どのようなパラグラフを何を遡及するために、どの順に並べて書くとアピール度が高まるのでしょうか?カウンセラーは受講生と一緒に学歴、職歴、活動歴、研究分野、留学の動機と背景、特定校である複数の具体的な理由、プログラム終了後の職業的目的などブレストしながら、Personal Statementの作成をサポートします。 出願カウンセリング講座の受講生は、環境学プログラム の主要校のPersonal Statementの課題が網羅されている受講生専用サイトにアクセスできます。また、受講生は、過去の合格者が作成したサンプルを閲覧できます。
「推薦状」とか「推薦書」というのは、日本の大学入試においてもそうですが、日本の大学院入試においては、ほとんど必要ないものです。
出願者が思っているより審査する欧米の教授は推薦状に重きを置きます。内容や形式や必要通数などを知る前に、「誰を推薦者として選ぶか」の選び方に注意が必要です。即ち、誰に推薦状を書いてもらうと合格に近づけるのかを重点的に考える必要があります。 カウンセラーと受講生は一緒に、先修科目・学歴・職歴・活動歴・PS/Essayの内容・プログラム 終了後のCareerなどを考えて、推薦者を選びます。即ち、誰に何をどう内容で具体例を出して書いてもらうかの案分をする必要があります。当然のことならが、同じ長所を二人の推薦者に違う事例をもって触れてもらい強調することもあり得ます。プログラムによって評価する資質が違いますので、必要に、応じて複数の推薦者に振り分けたりもします。 また、通常は、複数の推薦者の候補が考えられますので、推薦者の学歴、職歴、活動歴、留学歴、海外歴、転職歴などを把握して最適な推薦者を選び出します。推薦状を依頼する時期、依頼する方法、具体的な依頼内容、段取りなどカウンセラーと一緒に相談します。
出願カウンセリング講座の受講生は、環境学プログラム の主要校の推薦状情報が網羅されている受講生専用サイトにアクセスできます。また、受講生は、過去の推薦者が作成したサンプルを閲覧できます。
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