出願のためにどんな書類がどういう形式で必要なのかという前に、日本の大学の受験経験しかない社会人や学部生が欧米の大学院へ出願するにあたり、合否の審査基準や審査システムが異なるという点をまず理解しておく必要があります。同時に、学部への出願ではなく、大学院の修士号課程への出願という点も充分に留意しなければなりません
最初の審査基準や審査システムが違うということは、TOEFLやGREの点数は審査基準の一部でしかなく、他に提出する成績証明書やCover LetterやPersonal StatementやPOS (Plan of Study)やC.V. (Curriculum Vitae) や 推薦状や紹介状などを考慮して合否を決めます。即ち、点数化できる客観的な基準とStatementなどの主観的は基準を合わせて審査します。ですから、よく合格点は何点ですかと聞かれても答えられません。日本の大学受験で言う合格点の考えが当てはまりません。勿論、足切点は推測できますので相談下さい。また、合否審査は、例外なく、合議制です。複数の審査官(Admissions Committee/Members)が話しあって合否を決めます。
さらに、学部への出願ではなく、大学院の修士号課程への出願ですからPlan of Study (POS)を通してacademicなmatchingが重要です。極端ですが、この研究をしたいのであればこの大学院のDr. Charlie Brown教授でないと充分な成果を上げられないというロジックと複数の理由が必要になります。現在学部生か大学院生であれば指導して欲しい専門分野の教授の名前が出てきて、それなりにPOSが書けるのですが、社会人の場合は最近の文献や専門書や学会記事をあたる必要があります。カウンセラーが、一番時間をかけて、受講生と一緒に考えるポイントです。当たり前ですが、MBAとは違い教授が審査するという点はしっかり頭に入れておきましょう。
では、スクールにより多少の違いはありますが、提出する出願書類を具体的に見ていきましょう。
出願願書のことで、アメリカの金融工学の場合は、ほぼ例外なくオンラインです。スクール独自のWebServerとSQLServerとPDFServerを組み合わせて出願サイトを構築している場合もありますが、大手のApply YourselfやCollegeNetのような出願システム会社に委託しているのが現実です。ですから、例えば、Cornellに出願するためにAccountを作成すると、CornellではなくCollegeNetからAccountができた旨のメールが届きます。オンラインの出願システムはすでに10年ほどの実績があるので、おおむね良くできています。紙やPDFの出願願書と同様に、氏名、旧名、性別、生年月日、出生地(市と国)、現住所と電話番号、現住所の有効期限、帰省先住所と電話番号、メールアドレスなどのPreliminary Informationと学歴や職歴や活動歴や受賞歴や著作歴などのBiographical Informationを入力します。
記入項目が不明の場合はカウンセラーに(予約不要)メールか、(要予約)電話かスカイプか個人面題で聞いて下さい。事前に不明な箇所のスクリーンショットを撮って下さい。
成績証明書のことです。海外の大学院への出願ですから、学卒の場合は学部の成績証明書、院卒の場合は学部と院の成績証明書の両方が必要となります。卒業した大学・大学院に英文で発行してもらいます。一番注意しなければならないのは、成績証明書に授与された学位が記載されていない場合は、卒業証明書も必要です。成績証明書に学位が明記されていないということは、大学に行って単位は得たが学位は貰えていないという意味になりますので、出願資格が無いことになります。なお、卒業証明書というより、学位授与書というのが本来かもしれません。成績証明書に授与された学位が載っていても、卒業証明書とセットで発行してもらっている受講生がほとんどです。ですから、学卒の場合は2枚で1セット、院卒の場合は4枚で1セットとなります。なお、東京大学の場合は、教養と専門で成績証明書が発行されますので、学卒は3枚1セット、院卒は5枚1セットです。
成績証明書と卒業証明書のセットを出願校に提出する方法は、原則、以下の3通りです。
なお、Cのオンライン上でのアップロードは、出願校から合格通知を受け取った時点で、AかBの方法でセットを再度提出します。
処理項目が不明の場合はカウンセラーに(予約不要)メールか、(要予約)電話かスカイプか個人面題で聞いて下さい。事前に不明な箇所のスクリーンショットを撮って下さい。
Bの厳封セットの場合は以下のように卒業証明書と成績証明書(この場合は2枚にわたる)を大学の封筒に入れ、出願校を宛て書きし、裏にはフラップにかかるように署名をしてもらいます。
履歴書のことですが、その重要性は日本の形式的な履歴書とは大違いです。日本の履歴書は学歴や職歴を羅列するだけで、ストーリーを描くことはできません。英語のResumeは、学歴や職歴ごとに何を達成して、何を身に付けたかなどを詳述でき、自分をどのように見せるか特定の方向性をもってストーリを描けます。ですから、どの項目を、どの順で、どの位の分量で載せるのかを戦略的に考えて作成します。職歴がアピールポイントの場合は、職歴の分量が多くなりますし、学会の活動歴をアピールしたい場合は活動歴が多めになります。カウンセラーが受講生と一緒に最初に行う作業です。
審査で最初に読まれるのがCVですから、内容のみならず、デザインと形式にも充分に注意を払いましょう。日本のワードの場合、ディフォルトで邦文は「MS明朝」で英文は「Century」となっていますが、Centuryは欧米人はTimes New Romanと比較して洗練されていない印象を与えますので要注意です。 また、マージンや行間にも注意です。ディフォルトで使用することはありません。どこを太字にして、どこをイタリックにしたほうがインパクトを与えるか知っていますか。
なお、呉々も注意しなければならないのは、頁数です。Resumeの情報はインターネット上MBAプログラムや就活に関するものが多く、1頁でなければならないと思い込んでいませんか。MBAのApplication ResumeやJob Resumeは1頁ですが、MBA以外のプログラムでは2〜3頁です。
金融工学の場合は、特に、Prerequisitesで課されるものが多く、CVに盛り込む必要が出てきます。内容やデザインそしてフォーマットも含めカウンセラーに相談して下さい。
受講生は、過去の合格者が作成したサンプルを閲覧できます。
Personal StatementやEssayは審査基準の中で最も重きを置かれるものです。カウンセリングでも一番時間を費やします。与えられ課題に沿って答えを書くのは当たり前ですから必要条件として、どうしたらユニークで説得力のある十分条件に近いStatementになるのでしょうか。他の出願者と何をどうセグメントするとユニークなStatementになるのでしょうか。どのスクールもプログラムをアピールしたいポイントを出願者にホームページを通じて強調していますが、それらのアピールポイントをそのままリストアップしたら、そのスクールに行きたい理由になるのでしょうか?卒業(学位授与)のために必要な単位を取るだけですか?履修する科目は明確な方向性をもっていますか?POS (Plan of Study)が大雑把すぎませんか?研究テーマが古すぎませんか?研究し尽くされたテーマではありませんか?当たり前ですが、MBAとは違い教授が審査するという点はしっかり頭に入れておきましょう。Academicなmatchingが非常に重要です。
以下、主要スクールのStatement/Essay課題です。なお、プログラムで紹介したように融工学プログラム はビジネス・スクールが開講していたり、 数学科だったり、工学スクールだったり、それぞれ特徴があります。プログラム同様にStatement/Essayの課題にも開講するスクールの特徴が出ています。
UC, Berekely, Haas School of Business, Master of Financial Engineering Essay ↓ ビジネス・スクールが開講 Please answer the following essay questions carefully and honestly.
New York University, Courant Institute of Mathematical Sciences Statement of purpose Explain why you have chosen quantitative finance in general and our program in particular. Describe your career plans and goals as clearly as you have them. This can range from: "a career somewhere in the finance industry"' to: "running a desk trading exotic emerging market credit derivatives at BNP in London leveraging my language skills and knowledge of Latin American markets". Describe your background and how it relates to your career plans. What motivated you to choose quantitative finance and why do you feel it is a good choice for you? Describe what you have done to learn about the finance industry and prepare yourself for our program. If quantitative finance represents a change in your career path, explain your decision to switch. Feel free to give other information that will help us understand your application better. Be concise
UCLA, Anderson School of Management, Master of Financial Engineeringm Essays ↓ ビジネス・スクールが開講 The essay questions are:
Princeton, The Bendheim Center for Finance, Master in Finance Statement of Academic Purpose ↓ 数学科が開講 Please write a statement of your current academic and future career plans as they relate to the Princeton department to which you are applying. In doing so, please cite relevant academic, professional, and personal experiences that motivate you to apply for a graduate degree. Your statement should not exceed 1,000 words and must be written in English. We will not accept revised statements of academic purpose. Please be sure to review your final document before uploading and submitting your electronic application.
Cornell U., School of OR & Info. Eng., Master of Engineering, Financial Engineering Concentration ↓ 工学部が開講 Statement of PurposeThis should describe your objectives in pursuing the Master of Engineering (M.Eng) degree program in ORIE. If you are interested in pursuing a specific concentration within the M.Eng program, i.e., financial engineering, manufacturing, etc., please state specific reasons why you wish to be considered for that concentration.
Personal Statements Each applicant must submit a personal statement. The personal statement is your opportunity to help reviewers better understand your academic objectives and determine if you are a good match for the field to which you are applying. Length and Format: The statement should be one or two pages. Include your full name and the proposed field of study at the top of each page. Please use a standard font and font size for ease of reading. Topic: The personal statement should include your reasons for undertaking graduate work and an explanation of your academic interests, including their relation to your undergraduate study and professional goals. Some fields ask that you address particular questions in your personal statement. Please check with your field for field requirements.
カウンセラーは受講生の学歴から得られたPrerequisites(先修科目)や職歴から得られた実務経験からPS/Essayの作成をサポートします。勿論、出願校の選定も相談内容に含まれています。
出願者が思っているより審査する欧米の教授は推薦状に重きを置きます。内容や形式や必要通数などを知る前に、誰に推薦者になってもらうか、推薦者の選び方に注意が必要です。即ち、誰に推薦状を書いてもらうと合格に近づけるのかを重点的に考える必要があります。 <推薦者の選び方> カウンセラーと受講生は一緒に、先修科目・学歴・職歴・活動歴・PS/Essayの内容・プログラム 終了後のCareerなどを考えて、推薦者を選びます。即ち、誰に何をどう内容で具体例を出して書いてもらうかの案分をする必要があります。また、通常は、複数の推薦者の候補が考えられますので、推薦者の学歴、職歴、活動歴、留学歴、海外歴、転職歴などを把握して最適な推薦者を選び出します。
<推薦状の送り方> 最近は推薦状も願書と同様にオンラインになっています。また、従前のようにPaperで送ることも可能です。
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